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ある夏。作家ビアンカは、行く先の見えない愛のもつれから逃れて、ローマに近い海辺の町にひとり暮らしはじめる。マリーナ=「海辺」という名をもつ蠱惑的な恋人にあてて綴られた、投函されることのない78通の手紙。ビアンカはここで、過去のいっさいを明かそうとする。父に恋い焦がれた少女のころ。寄宿舎での性のめざめ。不実な男たちとのつかのまの恋。はるか年上の夫への満たされぬ思慕。そして女たちとの新しい関係…。愛と性をめぐる既成の神話を、女の声が語りなおすとき、どんな光景が立ちあらわれるか。きわめて先鋭的でありながら、同時にいにしえの語りのリズムを響かせる、喚起力ある秀作。
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